探偵業の届出を警察署にするやり方|手順と必要書類を解説

ただし期限を1日でも過ぎると無届営業になり、罰則の対象です。ここがいちばん怖いところ。
この記事では、行政書士として探偵業の開業届を扱ってきた私が、届出のやり方を6ステップに分けて解説します。必要書類の取り方、費用、法人と個人の違い、つまずきやすい不備まで、迷わず動ける形でまとめました。
探偵業の届出とは?警察署への届出が必要な理由

探偵業を営むには、営業を始める前に都道府県公安委員会へ届出をしなければなりません。窓口は営業所を管轄する警察署です。これは「探偵業の業務の適正化に関する法律」(探偵業法)で義務づけられています。
届出をせずに営業すると罰則があります。案内では6か月以下の懲役または30万円以下の罰金です。届出は任意ではなく、開業の絶対条件だと考えてください。
探偵業法の目的と背景
探偵業法は平成19年に施行されました。当時、探偵業者による違法・不当な調査や、依頼者とのトラブルが社会問題になっていたのが背景です。
目的は、探偵業務の適正化と、依頼者・調査対象者の利益保護にあります。届出制を敷くことで、誰が探偵業を営んでいるかを行政が把握できる仕組みにした、というのが私の理解です。
探偵業・探偵業務の定義
探偵業務とは、特定人の所在や行動について、面接・尾行・張り込みなどの方法で実地調査を行い、その結果を依頼者に報告する業務を指します。
こうした業務を、他人の依頼を受けて報酬を得て継続的に行うことが「探偵業」です。これを営む者が「探偵業者」になります。報道機関の取材などは除かれます。
届出をしないとどうなる(無届営業の罰則とリスク)
無届で営業すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。実務では「準備が間に合わず先に営業を始めてしまった」というケースが危ない。届出は営業開始の前日までと決まっているからです。
罰則だけでなく、無届の事実が公になれば信用も失います。探偵業は信頼が商売の土台です。正直、ここを軽く見る人は開業に向いていないと私は思っています。
届出の前に確認すること(所要時間・難易度・前提条件)
まず全体像をつかみましょう。難易度は決して高くありません。手数料は不要で、書類集めに少し時間がかかる程度です。

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 届出先 | 営業所を管轄する都道府県公安委員会(所轄警察署長を経由) |
| 手数料 | 不要 |
| 届出の期限 | 営業を開始しようとする日の前日まで |
| 変更・廃止届の期限 | 変更・廃止の日から10日以内 |
| 難易度 | 書類を集められれば自力で可能 |
届出にかかる費用と手数料の目安
届出そのものに手数料はかかりません。都道府県警察の案内でも、届出に手数料は不要と明示されています。
ただし添付書類の取得には実費が発生します。住民票や登記事項証明書などです。私の経験上、自分で集めれば実費は数千円程度に収まります。
届出から営業開始までの所要日数
届出は営業を開始しようとする日の前日までに提出します。逆算して、書類取得の日数を見込んでおく必要があります。
住民票や身分証明書はその日に取れることが多い一方、本籍地が遠方だと郵送で1週間ほどかかります。私は依頼者には、開業予定の2週間前から動くよう伝えています。
管轄警察署の調べ方とどこに提出するか
提出先は、営業所の所在地を管轄する警察署です。そこを経由して都道府県公安委員会へ届け出ます。
管轄が分からないときは、各都道府県警察のサイトで「管轄区域 一覧」を確認するか、最寄りの警察署の生活安全課に電話すれば教えてもらえます。営業所が複数あるなら、それぞれの所在地ごとに届出が必要です。
欠格事由に当てはまらないかの確認
届出の前に、自分が欠格事由に該当しないかを必ず確認してください。該当すると届出ができません。
具体的には、破産して復権していない者、一定の刑罰を受けて期間を経過していない者、暴力団員などが対象です。法人の場合は役員もチェック対象になります。ここを見落とすと、書類をそろえても受理されません。
探偵業の届出のやり方を6ステップで解説
ここからが本題です。見出しは6ステップとしていますが、実際の核は4つの動作に集約できます。順番にやれば迷いません。

届出に手数料はかからないので、かかるのは書類取得の実費と手間だけです。
ステップ1 探偵業開始届出書を作成する
まず探偵業開始届出書を作ります。様式は各都道府県警察や警視庁のサイトからダウンロードできます。氏名・住所、営業所の名称と所在地、業務の概要などを記入します。
確認の目安は、空欄なくすべて埋まり、屋号や代表者名が登記内容と一致していること。ここが合っていれば、次に進んで大丈夫です。
ステップ2 必要書類をそろえる
次に添付書類を集めます。個人と法人で内容が違います。個人なら住民票の写し、欠格事由に該当しない旨の誓約書などです。法人なら定款、登記事項証明書、役員の住民票の写しなどが加わります。
確認の目安は、住民票などの公的書類が発行から3か月以内であること。古い書類は受理されないので、ここは取得日に注意してください。
ステップ3 管轄警察署に提出する
届出書と添付書類がそろったら、営業所を管轄する警察署の生活安全課へ提出します。多くの署では事前予約を勧めています。窓口で内容を確認され、その場で不備を指摘されることもあります。
確認の目安は、窓口で書類一式が受け付けられたこと。控えに受付の印が押されれば、届出は完了です。
ステップ4 届出証明書を受け取り標識を掲示する
ここは制度が変わった重要ポイントです。従来あった届出証明書は、令和6年(2024年)4月1日から廃止されました。代わりに標識の掲示が義務化されています。
標識を作成し、営業所の見やすい場所に掲げるとともに、自社のウェブサイトにも掲載します。これで「正しく届出を済ませた探偵業者」として営業を始められます。
必要書類の一覧と取得方法

書類集めが届出のいちばんの山場です。どこで何を取るかを一覧にしました。警察庁は添付書類の例として、個人では住民票の写しや誓約書、法人では定款や役員の住民票の写しを挙げています。
| 書類 | 対象 | 取得先 |
|---|---|---|
| 住民票の写し | 個人・法人役員 | 本籍地記載・市区町村役場またはコンビニ交付 |
| 身分証明書 | 個人・法人役員 | 本籍地の市区町村役場 |
| 欠格事由に該当しない旨の誓約書 | 個人・法人 | 自分で作成(様式あり) |
| 定款の謄本 | 法人 | 自社で写しを用意し原本証明 |
| 登記事項証明書 | 法人 | 法務局または登記情報提供サービス |
| 履歴書 | 個人・法人役員 | 自分で作成 |
住民票の写し・身分証明書の入手先
住民票の写しは、住んでいる市区町村の役場で取れます。マイナンバーカードがあればコンビニ交付も使えて便利です。届出用は本籍地の記載ありで取ってください。
身分証明書は名前が紛らわしいのですが、運転免許証のことではありません。本籍地の市区町村役場が発行する、破産していないことなどを証明する公的書類です。本籍が遠ければ郵送請求になります。
登記事項証明書・定款の謄本の取り方
登記事項証明書は法人だけに必要です。最寄りの法務局の窓口か、オンラインの登記情報提供サービスで取得できます。窓口なら数百円程度です。
定款の謄本は、会社設立時に作った定款の写しを用意し、「原本に相違ない」旨を記載して代表者が記名・押印します。手元に定款が見当たらない場合は、公証役場で謄本を取り直す方法もあります。
誓約書・履歴書の書き方
誓約書は、欠格事由に該当しないことを自ら誓う書類です。警察のサイトに様式があるので、それに署名・押印します。法人は役員全員分が必要です。
履歴書は学歴・職歴を記載します。市販の履歴書ではなく、探偵業届出用の様式を使うのが無難。空白期間があると説明を求められることがあるので、正確に書いてください。
法人と個人事業主で異なる必要書類
いちばん混乱しやすいのが、ここです。個人と法人で書類の数がはっきり違います。
| 書類 | 個人事業主 | 法人 |
|---|---|---|
| 住民票の写し | 本人 | 役員全員 |
| 身分証明書 | 本人 | 役員全員 |
| 誓約書 | 本人 | 役員全員 |
| 履歴書 | 本人 | 役員全員 |
| 定款の謄本 | 不要 | 必要 |
| 登記事項証明書 | 不要 | 必要 |
法人は役員が複数いると、その人数分だけ住民票や誓約書が増えます。私が扱った案件でも、役員5名の会社は書類集めだけで2週間近くかかりました。法人は早めの着手が鉄則です。
探偵業開始届出書の記入例と書き方の見本
届出書は様式が決まっているので、欄に沿って埋めれば形にはなります。問題は、細かいところで引っかかること。実際に私が窓口で差し戻された経験から、つまずきやすい点を挙げます。

記入時につまずきやすい項目
営業所の名称(屋号)と所在地は、登記や賃貸契約と一字一句そろえます。「丁目」と「-」の表記揺れだけで指摘されることがあります。
業務の概要欄は、行う調査の種類を具体的に書きます。「調査全般」のような書き方は避け、所在調査・行動調査など、実際に扱う内容を記載してください。
よくある不備・受理されない理由と対策
受理されない原因の多くは、書類の不足か期限切れです。特に住民票や身分証明書の発行日が古いと、その場で取り直しになります。
| 不備の内容 | 対策 |
|---|---|
| 住民票・身分証明書が発行3か月超 | 届出直前に取得する |
| 屋号・住所が登記と不一致 | 登記事項証明書と突き合わせる |
| 役員の書類が一部欠落 | 役員全員分をリスト化して集める |
| 誓約書の押印漏れ | 提出前に署名・押印を再確認 |
| 業務概要が抽象的すぎる | 具体的な調査種別を記載 |
うまくいかないときは、提出前に管轄署の生活安全課へ電話で書類を確認するのが確実です。二度手間を防げます。
届出後に必要な対応と変更・廃止届
届出が通っても、それで終わりではありません。営業中も探偵業法上の義務が続きます。ここを怠ると行政処分の対象になり得ます。

標識の掲示と名簿の備付け
令和6年4月1日からの制度で、営業所の見やすい場所に標識を掲げ、自社サイトにも掲載することが求められます。届出証明書は廃止されたので、この標識が「届出済み」の証になります。
あわせて従業者名簿の備付けが必要です。営業所ごとに、従業者の氏名・採用年月日・従事させる業務内容などを記載します。
従業者への教育と秘密保持の義務
探偵業者は、従業者に対して業務の適正な実施を確保するための教育を行う義務があります。違法な調査をさせない、というのが趣旨です。
また、調査で知った秘密を漏らしてはいけません。退職後も同様です。探偵業は個人の機微に触れる仕事なので、ここは特に厳しく見られます。
変更届・廃止届が必要なケースと提出期限
届出内容に変更があったとき、または探偵業をやめるときは、それぞれ変更届・廃止届を提出します。期限はどちらも、変更・廃止の日から10日以内です。
営業所の移転、屋号の変更、役員の交代などが変更届の対象です。10日は意外と短い。後回しにすると忘れるので、変更が決まった時点で動いてください。
自分でやるか専門家に頼むか(行政書士依頼の費用相場)

正直に言うと、個人事業主の届出なら自力で十分こなせます。手数料は不要で、書類も数点だからです。私が無理に依頼を勧めない理由はここにあります。
一方、法人で役員が多い、本籍が各地に散っている、開業日が迫っているといった場合は、専門家に任せる価値が出てきます。
専門家に依頼するメリットと費用の目安
行政書士に依頼するメリットは、書類の取得代行と、不備のない一発提出です。役員分の書類集めや管轄ごとの違いを丸ごと任せられます。
費用は事務所によって幅があるため、ここでは具体額を断定しません。複数の事務所に見積もりを取り、書類取得の実費が含まれるかまで確認するのが賢いやり方です。
オンライン申請・郵送対応はできるのか
届出は基本的に管轄警察署の窓口へ提出します。郵送やオンラインの可否は都道府県警察ごとに対応が分かれるため、提出前に管轄署へ直接確認してください。
私の経験では、初めての届出は窓口で対面提出するのが安全です。その場で不備を指摘してもらえ、結果的に早く受理されることが多いからです。
探偵業の届出に関するよくある質問(FAQ)
よくある質問
まずは自分が欠格事由に当てはまらないかを確認し、開業予定日から逆算して書類集めを始めてください。動き出すなら2週間前から。これが私が現場で伝えている最初の一歩です。

